知っておこう!断熱材の9つ種類と性能比較

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断熱材は、部屋の中と外を遮断して、熱が逃げないようにする材料です。

壁の中に入れる材料のため、施主さまが目にすることはあまりなく、また、断熱材の種類や素材を気に留める方は、あまりいらっしゃらないかもしれません。

けれども、断熱材は暖かさをはじめとして、家の基本性能をもっとも左右するものの一つです。また、さまざまな種類があり、性能も異なります。非常に重要な材料なため、家を建てる前に「どのような断熱材があり、どれを使うのか」ぐらいは知っておくと、新築する家の性能を考え、ハウスメーカーや工務店と話をするときに便利です。

そこで、断熱材の種類と性能について解説します。

断熱材の種類

断熱材は、大きく分けると、細かい繊維の間に空気を閉じ込める「繊維系断熱材」と、気泡の中に空気を閉じ込める「発砲プラスチック系断熱材」の2つに分けることができます。それぞれの特徴を以下に示します。後半で、各断熱材の性能を紹介しますので、まずは、「こういう種類のものがあるんだな」というぐらいの理解でかまいません。

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繊維系断熱材

綿のような形状のものが一般的です。密度の高いものはボード状になっているものもあります。

グラスウール

  • ガラスを細かい繊維にして、綿のように加工したもの
  • 床、壁、天井など、ほとんどの部位に使用できる
  • 厚さや密度が高いほど断熱性能に優れる
  • 燃えにくい
  • 吸音性がある

ロックウール

  • 耐熱性に優れた鉱物を融かして繊維状にしたもの
  • 床、壁、天井など、ほとんどの部位に使用できる
  • 撥水性、耐熱性、吸音性がある

セルローズファイバー

  • 木質繊維(古紙)を利用した綿のような形状
  • 木質繊維のため、湿気を吸収・放出する

インシュレーションファイバー

  • 木材の端材や廃材、間伐材などを繊維状にして、板状にしたもの
  • 床、壁、天井など、ほとんどの部位に使用できる
  • 吸音性、断熱性に優れる
  • 木質繊維のため、湿気を吸収・放出する

発砲プラスチック系断熱材

施工現場で吹き付けるタイプのものと、工場で成形されたボード状のものがあります。

ビーズ法ポリスチレンフォーム

  • 一つひとつのビーズ状のつぶの中に空気を含む断熱材
  • 水や湿気に強い
  • 工場で成形し、板状や筒状など、さまざまな製品がある

押出法ポリスチレンフォーム

  • 断熱材を建物の外側に張り付けるボード上の断熱材
  • 水や湿気に強い。基礎や土間床の断熱にも使用できる

硬質ウレタンフォーム

  • 非常に細かな気泡で成形された断熱材
  • 気泡には空気より熱伝導率(次項で解説)が小さいガスを含んでいる
  • 工場でボード上に成形されたタイプと施工現場で直接吹き付けるタイプがある

ポリエチレンフォーム

  • 非常に細かな気泡で成形された断熱材
  • 対吸湿・耐水性に優れる
  • 柔軟性があり、すき間なく施工することができる
  • 床、壁、屋根、屋上、配管カバーなどの断熱が可能

フェノールフォーム

  • 独立気泡のボード上断熱材
  • 耐熱性、防火性に優れる
  • 湿気に弱い

断熱材の性能

断熱材の性能は、熱伝導率λ(熱の伝わり方を示す数値)で表されます。熱伝導率が小さいほど、熱を伝えにくく、断熱性能が高くなります(この表では、右の数値が熱伝導率)。

「これから建てる家の断熱材はどのぐらいの性能のものなのか」が分かります。

繊維系断熱材

グラスウール 住宅用 10K 0.050
16K 0.045
20K 0.042
24K 0.038
32K 0.036
高性能 16K 0.038
24K 0.036
32K 0.035
40K 0.034
48K 0.033
吹込用 13K、18K 0.052
30K、35K 0.040
ロックウール 住宅用 マット 0.038
フェルト 0.038
ボード 0.036
吹込用 25K 0.047
65K 0.039
セルローズファイバー 吹込用 25K、45K、55K 0.040
インシュレーションファイバー マット 0.040
ボード 0.052

プラスチック系断熱材

ビーズ法ポリスチレンフォーム A種保湿板 4号 0.043
3号 0.040
2号 0.037
1号 0.036
特号 0.034
押出法ポリスチレンフォーム A種保湿板 1種 0.040
2種 0.034
3種 0.028
硬質ウレタンフォーム A種保湿板 1種 0.029
2種4号 0.028
2種3号 0.027
2種2号 0.024
2種1号 0.023
吹付け A種3 0.040
A種2 0.034
A種1 0.034
ポリエチレンフォーム A種保湿板 1種1号 0.042
1種2号 0.042
2種 0.038
3種 0.034
フェノールフォーム A種保湿板 2種1号 0.036
3種1号 0.035
3種2号 0.035
2種2号 0.034
2種3号 0.028
1種1号 0.022
1種2号 0.022

まとめ

断熱材の種類と断熱性能についてみてきました。

断熱材にこだわりを持っている施主さまはあまり多くありません。けれども、断熱材は家の基本性能を決めるとても大切な材料です。それほど細かく知る必要はないかもしれませんが、「どんな材料を使っているのか」は、知識として知っておくといいかと思います。

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